理系教育に力を入れる山脇学園。入試方法が通常の4教科入試の他に、算数か国語のいずれか一つで合否が出る入試、英語入試など複数あるのも人気の理由だ(写真:山脇学園提供)
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 中学受験で人気の女子校には伝統校が多く、教育方針が今の時代にマッチしていると言われている。お嬢様系や男子校系、女子ならではの人間関係への丁寧なケアなど校風も様々あるようだ。AERA 2025年3月31日号より。

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 学校によって、校風が大きく違うのも女子校の特徴だ。中学受験情報誌の関係者は、「伝統的なお嬢様系の所もあれば、元気の良い生徒が集まる学校もあります。『うちは一番男子校に近い女子校です』と、教員が豪語する学校もあるほど個性に違いがある」と話す。

 自分に合うか、合わないか、共学以上にしっかり見極める必要があるのも、女子校ならでは、と言えそうだ。

「ジャージを『おジャージ』、制服を『お制服』と言うことに衝撃を受けました」

 そう振り返るのは、IT系企業に勤める東京都の女性(50)だ。娘はコロナ禍に受験を迎えた世代で、学校見学もろくに行けないまま、入試へと突入。娘は中学受験に向いていたようで、順当に偏差値60を超える女子校に合格をもらった。だが、制服採寸で訪れた学校の様子に母娘でびっくり。娘が「地元の中学に進みたい」と言いだしたために、入学金を納めた後だったが入学を辞退したという。

 その後、娘は高校受験をして進学したが、選んだのはまた女子校だった。だが「おジャージ」文化の女子校とは随分と違う校風だという。

 過去問にもその違いが表れていたといい、例えば文章問題では、女の子がお汁粉を作ろうとして、しまってあった小豆を見たら、中にゾウリムシがいて、主人公はそこからゾウリムシの繁殖スピードを考える実験を始めたというストーリーを元に設問がつくられていた。

 女性は「主人公は料理を作りつつ、それが数学の問題に繋がっていくというマルチタスクをこなしていました。女性が社会で働く時、マルチタスクはかなり大事じゃないですか。入学を決めた女子校は難関校ですがエリートではなく、マルチタスクができる人間に育ててくれる気がしました」と話す。

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丁寧なケアに期待