
丁寧なケアに期待
中学生から高校生にかけては、女子ならではの難しさが出る時期でもある。女子校は丁寧なケアが期待できる、という声もあった。
都内在住で出版関係の仕事をしている女性(48)の娘はまさに今、友人関係のもやもやに直面しているという。
女子はグループを作りがちだが、中学の間はそのグループも流動的だ。些細なことでグループが入れ替わり、その度に娘は面倒くささややりにくさを感じているように見えるという。だが、あまり心配はしていない。
「この辺りのことは学校はよく分かっているようで、グループを固定化させないための配慮なのか、週に1度は席替えがあります」(女性)
働く女性が増えたいま、受験をさせる親たちの価値観にも変化が生まれている。
関西きっての名門女子校出身で社労士として働く東京都の50代の女性は、娘が中学受験する時、女子校推しだった。
しかし、娘本人は初めから女子校志望だったわけではない。小学校では男女の隔てなく楽しく過ごしていたし、塾の先生からも共学校が向いていると言われていたからだ。だが、学年が上がると本人も女子校を希望するようになったという。
「男子校に通う兄がいて、別学の良さを聞いたようです。異性がいない方が自分のやりたいことができるかもと考えて、女子校を選んだようでした」
時代に合った価値観
入学して2年、女子校で良かったと感じる点は多いという。
「先日、他の子が1個しか持てなかった荷物を二つ持って運んだら、『凄いね!』って褒められたと娘が喜んで帰ってきました。得意なことを得意な子がやる、ここに性別というフィルターがかからないのが女子校の良さ。息子が通う学校では、お菓子作りが好きな同級生がいて、手作りのお菓子をもらってきたことがあったんですが、共学だったら彼もあんなに自由にはできないかも。性別によらず得意な力を発揮したり、好きなことを好きと言えるのはやっぱり別学校ならではだと思います」
今の時代に合った教育と価値観をどちらも持ち合わせる女子校。それが生徒からも親からも支持される理由だろう。(フリーランス記者・宮本さおり)
※AERA 2025年3月31日号より抜粋