
元日に天皇、皇后に参内する際に着用する「御地赤」が、一般の目に触れる機会はほとんどない。秋篠宮家の内親王である長女の小室眞子さんや次女の佳子さまのものは、鶴の意匠だった。天皇家の長女の愛子さまの御地赤については、上皇ご夫妻(当時の天皇ご夫妻)から「鳳凰の意匠を」と注文が出されるなど、別格の扱いだったという。
そして、悠仁さまの御祝着もまた、「特別」なものだった。見本となったのは、一着の「黒紅縫」の着物だ。
内親王の御地赤は、成年になるまで仕立て直しながら毎年着用するが、「黒紅縫」の着物に袖を通すのは通常は1回だけ。
天皇陛下や秋篠宮さまが3歳のお祝いで着用された御祝着は、濃い紫色の絹地に縁起の良い鶴、松、橘の刺繍が施された見事なもので、上皇さまから大切に引き継がれたものだった。
しかし、秋篠宮さまの後は、41年ぶりに悠仁さまが誕生するまで、皇室に男子は生まれなかった。御祝着はそれまで大切に保存されていたが、もともと古い品であったために痛みが見られ、悠仁さまのために新たに仕立て直すことになったという。

「鶴と蓑亀は、ひとまわり小さく」
皇室サイドの依頼の内容は、鶴や蓑亀(みのがめ)の刺繍を、最近のスタイルに合わせてか、ひと回り小さくするほかは、もとの御祝着と同じ図案にしてほしいというものだった。
そして悠仁さまの3歳の誕生日には、この「黒紅縫」の御祝着を着用した悠仁さまの写真が公開された。