宮中の伝統にのっとり、もうすぐ4歳を迎える悠仁さまは「黒紅(くろくれない)縫の御祝着」を着用。金糸で刺繍された雲取りを背景に、長寿を意味する鶴が雄々しく羽ばたく=2010年8月、秋篠宮邸、宮内庁提供
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 秋篠宮家の長男の悠仁さまが18日、筑波大学附属高校を卒業した。先日は成年として初めて記者会見し、19歳の誕生日を迎える9月には古式ゆかしい装束に身を包んで、成年を迎えたことを表明する成年式に臨む予定だ。明治以来の皇室は洋装が正装とされたが、宮中の伝統は大切に受け継がれており、天皇、皇后両陛下の長女愛子さまが幼少の頃から成年を迎えるまで「御地赤(おじあか)」と呼ばれる着物を、悠仁さまは3歳の誕生日に「黒紅」(くろくれない)色の御祝着を着用するのも、そのひとつだ。

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「この黒紅縫(くろくれないぬい)の御祝着と同じように仕立ててほしい」

 2009年ごろ、まもなく3歳を迎える悠仁さまのために、皇室からの依頼が呉服業界の関係者に伝えられた。

 現在、皇室の正装は洋装となっているが、古式ゆかしい装束で臨む儀式は宮中の伝統として大切に継承されている。

 親王が幼少の時期の誕生日にあたって着用する「黒紅縫の御祝着」も、その伝統のひとつだ。

新年のあいさつのために参内する、当時の皇太子ご夫妻と「御地赤(おじあか)」を着用した長女の愛子さま。愛子さまの御地赤には鳳凰が刺繍されるなど、東宮家の内親王の御祝着はまさに別格だった=2019年1月2日、皇居・半蔵門

愛子さまの「別格」と悠仁さまの「特別」

 濃い紫に染め上げられた絹地の御祝着の色は、宮中で用いられていた御所ことばで「黒紅」と呼ばれている。

 ちなみに、内親王の場合は4歳ごろに「御地赤(おじあか)」と呼ばれる上品な朱赤の御祝着を準備する。元日など節目となる日に身につける宮中の伝統的な着物で、成年を迎えるまで、成長に合わせて何着かを仕立てていく。

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愛子さまは「別格」の鳳凰