付き合って半年ほど経ち、結婚の話が出始めた頃、小川さんはパートナーに、卵子凍結していることを話した。妊娠・出産を望むなら、急がないといけない年齢に来ていること。できることなら、子どもを産んでみたい“かもしれない”こと。後から後悔するのは嫌だなと思っていること。
話しているうちに、いろんな思いが去来して、自然と涙がこぼれた。その時、「あ、私って、やっぱり子どもがほしかったんだ」と思った。
ただ、彼は凍結卵子を使うことには強い抵抗感を示した。この時、彼が生殖医療に対して抵抗感を持つタイプであることを、初めて知ったという。人の命は、自然な営みの中で授かるべきもの。不自然なことをすれば、どこかで無理が出てくるのではないか――それが彼の“抵抗感”の理由だった。