NHK紅白歌合戦の司会は昨年で3年連続、曲紹介では噛むこともなく、企画コーナーでの歌も踊りも完璧。堂々としていながらキラキラ可愛い、まさにパーフェクトだった。そんな完璧さが、朝ドラにはイマイチだったと中村さんは分析する。

「朝ドラの醍醐味の一つは、壁や問題に直面した主人公がどうやって這い上がり、乗り越えていくか。時には一人の人間としてのズルさ、したたかさを見せることも必要でしょう。そういったカタルシスに今回、橋本さんはうまく馴染めなかった、ハマらなかった気がします」
 

主人公が「傍観者」のよう

 そんな橋本環奈演じる米田結が、中村さんには「傍観者」のように見えたと言う。

ドラマでは阪神淡路大震災、東日本大震災、そしてコロナ禍という、多くの人の記憶に今もなお残っている出来事を取り扱っていましたが、全編を通じて結が終始、傍観者のような感じのたたずまいに見えてしまったのは私だけでしょうか。主人公が味わう挫折感や悲壮感をもう少しわかりやすく表現することができたらよかったのかなと思います」

 また、ドラマとは関係ないが、放映期間中に報じられた橋本環奈のパワハラ疑惑も、“雑音”となって視聴に影響したのでは、と中村さんは指摘する。

「ドラマの本筋とは関係ないのですが、不幸にも放送中に週刊誌による橋本さんのパワハラ記事が世間を賑わせてしまいました。若干、タイミングが良すぎるのでは? とは思いますが、真相はわかりません。いずれにせよ、こういったノイズが視聴意欲に少なからず影響を与えたことは間違いないでしょう」
 

平成ギャルはなんだった?

 ドラマの賛否は主演の俳優に主に集まってしまうものだが、酷評の要因は橋本環奈だけでなく、中村さんは「平成ギャルというテーマの勉強不足」も指摘する。

「平成ギャルを取り扱ったことは意欲的な試みだったと思いますが、若干、掘り下げと厚みが足りなかったような気がします。流行やカルチャーを取り上げるなら、キレイごとだけではなく負の面もしっかり描かないとドラマが薄くなってしまう。おそらく視聴者にはあまりにもあっさりとクリーンすぎて物足りなかったのではないでしょうか」

 ドラマの前半では、ギャルに否定的だった真面目な高校生の米田結が、ギャルグループ「博多ギャル連合(ハギャレン)」に出会い、ギャル魂を貫き成長していく。ギャルメイクやツインテールにした髪に大きなひまわりをつけたヘアスタイル、長いネイルなど、橋本環奈のギャルビジュアルは話題にはなったが、ドラマ終盤となった今、振り返ってみると、“あのギャル設定はなんだったのか”と思わなくもないほどだ。
 

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