
今年、東京大学や京都大学など難関大学を突破した合格者たち。栄光をつかんだ生徒の素顔とともに、熾烈な受験競争を支えた親たちの献身から合格の秘訣をひもといてみる。
神田麻綺さん 宝仙学園高校→早稲田大学 文化構想学部
神田さんが総合型選抜での大学進学を意識し始めたのは中学3年生の時だ。
「総合型に必要な資料作りに役立つ提出書類作成指導を早稲田塾で受けたんです。そのときにプレゼンする楽しさを感じ、考え抜いて自分なりの答えを導くというところも私に向いていると思ったんです」
早稲田大学の国際日本文化論プログラム入学試験(JCulP・日本学生)でアピールした研究は「江戸時代と明治時代の女性の立ち位置」。
「元々ジェンダーについて関心があったわけではなかったんですが、早稲田塾で竹中平蔵さんが先生としてさまざまなテーマで教えてくださる『世界塾』で、男女にはまだ差があるというお話があったんです。そこで関心を持ちました」
江戸、明治期を選んだのは、NHK連続テレビ小説「あさが来た」が好きだったから。日本社会が大きく変わる転換期として関心を持ち、まずは離婚制度について調べ始めた。
「江戸時代は離婚がしやすかったとされていて、明治時代に合って憲法が制定されたことによって離婚しにくくなりました。つまり憲法によって女性の立ち位置が低くなったと結論付けました」
研究の際には米国での例も調べ、東西で男女差があり、その原因は工業化にあったということも学んだ。
「日本では憲法によって差が生まれたとしましたが、もしかしたら工業化なのか、西洋化なのか、あるいは戦争に強くなるためなのかと答えがはっきりとはつかめていなかったんです。それを知りたくて早稲田大学に入りたいんだと面接では話しました」
当初は、研究は総合型のためと始めたが、続けていくうちに習慣となり、物事を多角的に考える癖もついた。
「最初は、受かりやすいとされている『翻訳』をテーマに研究していたんですが、私自身は関心のないテーマで、本当につまらなくて。自分が好きなジャンル、方向性、時代でテーマを決めたらものすごくはかどったので、情熱を注げるテーマ設定がものすごく大事だと思います」
JCulPは英語能力が重視される。女性の立ち位置についての論文もすべて英語で書き上げた。