オフに大型補強した浦和レッズも、不甲斐ないスタートで早くもサポーターの不満とストレスが溜まっている。MFマテウス・サヴィオ、MF松本泰志、MF金子拓郎、DFダニーロ・ボザなどの面々を加え、2連覇中の王者・神戸(0-0)との開幕戦は悲観すべきものではなかったが、第2節以降も京都(1-1)、湘南(1-2)、柏(0-2)と状態が上がらずに4試合を終えて2分け2敗で19位に沈んでいる。

 2023年に1シーズンチームを指揮し、昨夏に2度目の就任となったマチェイ・スコルジャ監督はJリーグにはもう慣れているはずだが、選手の入れ替わりが激しいこともあってか、現時点でのチーム成熟度はお世辞にも高くない。前線からの守備はハマらず、ビルドアップもバックパスが多く効果的な攻撃ができていない。戦力的にこのまま下位に沈み続けることは考えにくいが、3月中に立て直しの道筋を立てなければ、優勝争いから早々に脱落してしまう恐れがある。

 さらにリーグ3連覇を狙っているヴィッセル神戸も心配だ。すでにスーパーカップ、ACLEと公式戦を数多くこなしているが、リーグ戦では浦和(0-0)、名古屋(2-2)、京都(1-1)、福岡(0-1)で3分け1敗の未勝利が続いている。FW大迫勇也は健在で、2年連続でリーグトップだった「1試合平均空中戦勝利数」は今季4試合を終えた段階でもトップと戦い方も変わっていないが、過密日程の中で多くの負傷者を抱え、FW武藤嘉紀も第3節からベンチ外。獲得選手よりも退団した選手の方に目が行くオフの補強の物足りなさもある。元来、個人能力に頼った戦い方で買ってきた面があり、レギュラーではない選手が出場した際のチーム力低下が心配な点だ。

 この状況で、浦和はトルコ代表FWジェンク・トスンの獲得が「決定的」との報道があり、神戸はポルトガルのサンタクララで主力だったブラジル人MFグスタボ・クリスマンの獲得を発表した。どちらが低迷するチームの救世主になれるのか。開幕の出遅れが長引けば致命傷になる。桜が咲く頃には、サポーターに希望を抱かせる戦いを見せなければならない。(文・三和直樹)

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