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不登校の生徒たちの多くは高校に進学するが、学習面のつまずきや内申点の低さ、欠席日数の多さなどから受験のハードルは高い。どう乗り越えればいいのか。AERA 2025年3月3日号より。
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高校入試本番を迎えたこの季節、ニュースでも、知人との話題のなかでも「受験」の二文字がちらつく。神奈川県の40代女性はそれを耳にするたび不安になるという。息子はいま中学2年生。1年後には受験を迎える。ただ、息子は中学1年の終わりごろから学校に通えていない。
もともと大勢で過ごすのが得意ではない。中学入学後、男の子たちのグループに入っていたが、仲間外れにされたと感じ、登校を嫌がるようになった。
「明確ないじめがあったわけではないと思います。本人は大人数のグループで遊ぶこと自体無理をしていたみたいで、もう行きたくないと言い出して……」
テストの途中で早退
学校に行かなくなって3週間ほどで迎えた1年生の期末テストは登校して受験した。ただ、周りからの視線に強いプレッシャーを感じたという。結局、2限目のテストの途中で教室にいられなくなり、早退した。
「進学はしたいと思っているようで、自分で勉強もしています。でも、教室でテストを受けることが今は考えられないみたい。どう進路を決めるか、行ける高校があるのか、そもそも試験会場に座ってテストを受けられるのか、本人も親も悩んでいます」
中学校卒業後、不登校の生徒の大半はそうでない生徒と同じように高校に進学する。
文部科学省の「平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書」(2014年公表)によると、06年当時中学3年で不登校だった生徒のうち、85.1%が高校等に進学した。それから10年以上たち、現在の進学率はさらに向上している可能性が高い。
不登校支援などを行うNPO、カタリバの渡邊雄大さんは、東京都足立区の受託事業として区内在住の主に不登校の中学生を対象に居場所づくり・学習支援などを行っている。
「私たちが関わる不登校の生徒のほとんどが高校進学を希望しますし、『高校からやり直したい』と考えています。言葉はそれぞれですが、中学校生活が自分の理想通りでなかった分、高校では理想の学校生活を追求したいと話す生徒が多い印象です」