挑戦する力を付ける

 どうハードルを乗り越え、進路を見いだし、受験に挑んでいくか。課題は多い。それでも、それをクリアして高校生活を満喫する生徒も大勢いる。

 先述の渡邊さんには特に印象に残っている生徒がいるという。中学2年生のころから関わるようになった不登校の女子生徒は、3年の秋を過ぎるまで「高校には進学しない」と明言していた。ただ11月になって、泣きながら伝えてきたという。

「周りにおいていかれるのが怖くて、弱い自分を見せられなくて、『行かない』と言っていた。でもやっぱり進学したいです」

 もう受験まで日はわずか。それでも、それからの日々を彼女は受験の準備に真剣に向き合った。チャレンジスクールと呼ばれる都立の定時制高校に合格、入学後も登校を続け、今年卒業する見込みだ。

「受験に真剣に向き合って、チャレンジする力を身に付けられた子は高校に進んでも頑張れる印象です。社会的には不登校の生徒が選択できる進路が増え、不登校でも将来自立していける道はあります。どんな進路が自分に合うか、入学後のサポートはどうなのか精査して進路を選び、受験に挑んでほしいと思っています」(渡邊さん)

(編集部・川口穣、ライター・大楽眞衣子)

AERA 2025年3月3日号

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