吐き気どめを処方してもらうも、なかなか吐き気がおさまらず、「もう投与をやめようかな」と考えたことは正直、何度もありました。ただ、誰かに相談したとして、「それならGLP-1(受容体作動薬)をやめた方がいい」と言われるのは、わかりきっていたので、誰にも相談することはできませんでした。
その当時は、ただひたすら体重を減らしたいと思う自分と、もうやめた方がいいのではないかと思う自分との闘いでした。幸い、酷かった副作用はある日突然消えたことで、継続することができました。後ほど論文でもお示ししますが、GLP-1受容体作動薬の服用を継続するということは、なかなか難しいことのようです。
減量効果は大いに実感
結果的に、3年間ほどGLP-1受容体作動薬を継続して服用したことで、減量効果を大いに実感することができました。服用をやめてからは、次に体重を維持することの難しさに直面しているのですが、それも含めて、GLP-1受容体作動薬の効果や副作用を、身をもって体感したことで、世界中でこの薬が減量のために使用されているという事実に共感できるというわけなのです。
では、ここからは、私も内服した「GLP-1受容体作動薬」について、どれくらいの速さで減量できるのか、その減量効果はどの程度持続するのか、そして、長期の使用における安全性はどうなのかなど、GLP-1受容体作動薬の効果や安全性に関する最新の医学論文とその内容をご紹介したいと思います。
まず初めは、2024年5月に報告された、糖尿病のない肥満患者に対するGLP-1受容体作動薬の一つであるウゴービ(セマグルチド)の長期的な減量効果に関する報告です。41カ国1万7,604人の患者を対象に、4年間にわたって観察が行われた臨床試験の結果によると、プラセボを投与された人たちの平均の体重減少率は1.5 %だったのに対し、セマグルチドを使用した人は平均10.2 %もの体重の減少をみとめたのです。また、セマグルチド群では、体重減少が65週間減少した後、最大 208 週間、つまり 4 年間もの間、体重が維持されていたことがわかったのです。