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日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は、前回に続き「減量目的でも服用されているGLP-1受容体作動薬」について、鉄医会ナビタスクリニック内科医・NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。
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【前回記事はこちら】1年半で8キロ減 糖尿病治療薬「GLP-1受容体作動薬」をダイエット目的で服用も女性医師の懸念点は?
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血糖のコントロールのみならず、減量目的としても爆発的に世界で服用されているGLP-1(ジーエルピーワン)受容体作動薬。私は3年間ほどGLP-1受容体作動薬を服用したものの、手持ちの薬がなくなったことをきっかけに服薬をやめてから、2年以上が経ちました。服用をやめてから、体重を維持することの難しさをひしひしと感じています。
前回に続いて、今回はGLP-1受容体作動薬の服用をやめてからの体重の変化や現状に加え、GLP-1受容体作動薬の効果や安全性を含めた最新の調査結果をお伝えしたいと思います。
幼い頃からぽっちゃり体型だった私は、糖尿病薬として知られているGLP-1受容体作動薬が、減量にも効果的だという当時の最新の医療記事を読み、信頼していたドクターに相談し、自費での使用を始めました。週に1回、自分で皮下注射するタイプのものだったので、1カ月の費用は8000円前後だったと記憶しています。
皮下注射は痛い
週に1回、曜日を決めて注射すればよかったので、服薬管理はとても楽でした。ただ、皮下注射自体の痛みや、注射をするときに発せられる「バチん」という音には、最後まで慣れることができませんでした。注射剤の流通が少なくなり、内服タイプのものに切り替えてからは、毎日決まったタイミングで薬を飲むことや、服薬上の決まりを守ることの難しさを痛感しました。
服薬を開始してからすぐに食欲は落ち、半年ほどで見た目でもわかるほど体重が減り、1年半ほど経ったころには、開始時点から8キロほど体重を減らすことができました。食欲が難なく落ちるので、自然と食事量が減ります。その上、一般的なGLP-1受容体作動薬の副作用である胸やけや吐き気も相まって、食べたいという思いもなかなか湧いてきません。もちろん、お腹が空いてはくるので、全く食べないというわけではありませんが、少し食べたらお腹がいっぱいに感じてしまうのです。