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AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占い師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。
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Q:引っ越しで退職しました。コロナ禍をぬけ、落ち着いてきたかと思えば、子どもの受験。旦那には、俺の稼ぎを当てにしすぎと言われ、いつか見返してやりたい。春からそろそろ落ち着いた仕事について、少しはキャリアアップを図りたいところです。息子の進学が無事にいくかも気になっていますが、自分時間が作れるようになりたいのが悩みです。(女性/看護師/36歳/うお座)
A:どっちがいい、悪いという話ではなく、大人になると様々な事情で、自分の時間が取れる人と取れない人に分かれるような気がします。
これを答えている僕自身、今はとにかく自分の時間がない生活をしています。時間がないってどういうことかというと、日々の生活の中で優先順位の1位2位は決められているみたいな状態。やらなければいけない仕事や優先しないといけないことがあって、そこは動かすことはできません。一昔前までは、3位から6位ぐらいまでが同率で、友だちに会いに行く、外食する、読書をするなど自分のやりたいことがありました。でも今は1位2位のことに、ほとんど生活のすべてを使ってしまって、たまに3位ができるかどうか。4位以下は絶対選べない状況。だから僕にとって、時間は「命の時間」という感じです。もちろん一時的なもので、ずっとこの状況が続くわけではないんですが。
提案ですが、キャリアアップなど頑張る前に、1年間の過ごし方、1週間の時間の使い方を書き出してみましょう。無駄な時間をあぶり出すという目的ではなく、まずは「こんなに頑張ってるんだ」というのを可視化する。そうやって書き出してみると、ここをこう動かしてここに旅行を入れたいな、のように隙間も見えてくると思います。
もう一つ気をつけてほしいことがあります。それは、毎日忙しくて自分時間が取りにくい、という状況でも、家族全員をその忙しさの渦に巻き込んでしまわないように、ということです。
これは僕自身の体験ですが、親が離婚して母親が朝から夜中まで働いてくれていました。その恩は一生忘れませんが、子どもの立場として、親の価値観とか幸せとか信念を、言葉で知りたかった、という気持ちがあります。
黙って働く背中は十分見せてもらったけれども、何を幸せに思って、何が我慢できないのか、その人なりの価値観──例えばおやつ食べている時が一番幸せとか、そういうたわいもない話でいいから、それがもっとあったらよかったなと思うんですよね。
親として子どもに何を伝えていきたいのか。これから共に受験を戦っていかなければいけないからこそ、ちゃんと伝えることでお子さんも気づくことがあるかもしれません。
うお座は、心身の健康のため、誰にも理解されない不思議時間を持ってもいいと思います。習い事とか部活動みたいに「ちょっと現実から抜けてきます」の時間があっても悪くないと思います。
※AERA 2025年2月24日号
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