「働くことで他者との関係性が生まれます。長いスパンで持続可能だし、働いてお金をもらうことは必要とされている実感にもなります。ほかの仕事へつながる第一歩として、分身ロボットカフェをスタートしました」

 カフェでは日々、OriHimeを通してパイロットが客と自然に会話し、笑い声が聞こえてくる。それは吉藤さんが生きがいを感じる光景だ。

「外出が難しいパイロットたちがお客さんを笑顔にしているんです。海外の方もたくさん来ますが、最初は『絶対無理』と言っていた寝たきりの人が英語で会話していたりする。『次は観光案内ができたらおもしろいね』とか、先の広がりも見えています。カフェをきっかけに、別の一般企業に就職した人もいます。『孤独の解消』につながる光景をかみしめています」

(編集部・川口穣)

AERA 2025年2月17日号

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