簡単な仕事を掛け持ち
副業を産業別で見るとどうか。星野さんの調査では、全体的な傾向として、本業が正規雇用の人は、副業は「学術研究・専門技術サービス業」や「情報通信業」「不動産」が多くなった。専門スキルを生かしたコンサルティングや、ITエンジニア関連、不動産投資などが多いのではないかという。
一方、本業が非正規雇用の場合、副業は「卸・小売業」や「宿泊・飲食サービス」が多い。非正規雇用は収入が不安定なので、簡単な仕事の掛け持ちをしていると考えられると見る。
星野さんは、「副業はこれから大事になってくる」と指摘する。
「特に氷河期世代は、受け取る年金が少ない人が多くなります。そのためにも定年を迎える前に、副業で様々な仕事を経験し、どのような仕事であれば定年後も前向きな気持ちで働けるかイメージすることは大切です」
しかも、定年後にいきなり副業をするのはハードルが高いが、40代、50代で始めればスキルが身についていく。1社で働き続けているとキャリアが凝り固まりやすくなるため、副業を持つことで視野が広がるメリットもある、と星野さんは言う。
「副業によって得られる収入は、少額でもいいと思います。『稼げる』ことである程度の自信が持て、その先のキャリアプランの見え方も変わり、ひいては老後の生活もポジティブに考えられるようになります」
(編集部・野村昌二)
※AERA 2025年2月10日号