身構えずに様々な副業を経験して、定年後のキャリア形成を前向きに捉えることが大切だ(撮影/写真映像部・佐藤創紀)
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 働く人も雇う企業も、だいぶ浸透してきた副業。氷河期世代などの中高年にとっては定年後を見据えたセカンド就活(セカ就)として副業を経験するメリットは大きい。AERA 2025年2月10日号より。

【図を見る】広がる副業OK 10年で副業者数が1.4倍に拡大に!

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 副業人気の高まりは、データからも見て取れる。

 第一生命経済研究所主席エコノミストの星野卓也さんは、総務省が5年に一度発表する「就業構造基本調査」を基に副業の実態を調査した。それによると、2012年の副業者数は234万人だったのが22年は332万人と、10年間で1.4倍に拡大。副業者の比率も、12年の3.6%から22年は5%と、こちらも上昇した。

 大企業が中心の経団連が22年に会員企業を対象に実施した「副業・兼業に関するアンケート」(回答275社)でも、副業・兼業を認めている企業の比率は「認める予定」も含め70.5%。5千人以上の企業だと同83.9%と、大企業ほど割合が高くなっている。

65歳以上が最多

 副業をする人が増えている背景として星野さんはまず、政府が18年に副業を解禁したことで企業も容認するようになってきたことが大きいと言う。

「さらに人手不足が進む中、企業は正規として雇えなくても副業でライトに働いてもらうことで、人手不足を補おうとしています。仕事と働き手をマッチングするアプリも開発され、仕事探しがスムーズにいくようになったこともあるかと思います」

 副業者数を年齢別で見ると65歳以上が最も多く、12年の32.7万人から22年は70.7万人と、10年間で2倍以上。ライトな仕事を、いくつか掛け持ちして働く人が増えていると思われるという。45~49歳は、12年の26.2万人から氷河期世代の22年の37.4万人と10年間で約1.4倍になった。

「氷河期世代で副業をしている人の多くは、非正規で働く女性で年収200万円以下の低所得ゾーンです。特に氷河期世代の女性は、本業も副業も非正規という傾向が強くあります」

ほしの・たくや/第一生命経済研究所主席エコノミスト。専門は日本経済、財政、社会保障、労働諸制度の分析、予測(写真:本人提供)
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