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「『経営のプロ』などと呼ばれたりしますが、実際にはITコンサルや財務コンサル、採用コンサル、人材教育コンサルなど、経営コンサルタントの仕事とはいえない事業領域で活動する、フリーの“野良コンサル”が多すぎる」

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 こう話すのは、中小企業向けに経営改善のアドバイスを行う40代の中小企業診断士だ。「野良コンサル」というのは、何の資格も持たず、前職の経験を生かしてフリーのコンサルタントとして活動する人たちを揶揄した表現だという。

 コンサル業界は今、過渡期を迎えている。1月に東京商工リサーチが公表したリポートによると、2024年の経営コンサルタント業の倒産件数は前年比で7.6%も増加。2005年の集計開始以来最多となる154件に達したのだ。

 だが、実際には、さらに「経営のプロ」の倒産が増えている可能性がある。東京商工リサーチ情報本部長の友田信男氏が話す。

名乗れば誰でもできる

「このリポートは負債額1000万円以上に限った集計で、規模の小さな倒産はカウントされていません。小規模倒産を含めればさらに数は増えるでしょう。なぜなら、経営コンサルタント業は名乗れば誰でもできる商売で、個人事業主として活動される人も少なくありません。国内外のコンサルティングファームから独立してコンサルタントを名乗る人のなかには、前職のツテを利用して顧問先を獲得する人が多いですが、少人数で活動を続けるほど知識やスキルは次第に陳腐化していき、顧客をつなぎ留められなくなる傾向にあります。また、業績改善を目的にコンサルタントと契約した中小企業などは、業績が上向いたらコンサルは不要になる。コストカットなどのノウハウも社内に蓄積される。だから、賃上げが進むなど景気が上向き始めているなかで経営のプロと称されるコンサルの倒産が増えているのです」

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“コンサルがコンサルを雇う”ケースも