2024年のドラフト1位で広島に入団した青山学院大の佐々木泰
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 正月の風物詩となっている箱根駅伝。近年圧倒的な強さを見せているのが青山学院大である。今年も安定したチーム力を発揮して総合優勝を果たし、これで直近10大会で7度目の総合優勝となったのだ。下級生にも有望な選手が多く、この強さは続くと見られている。

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 しかし青山学院大が強いのは駅伝だけではない。野球部も新たな黄金時代を迎えているのだ。青山学院大の野球部は1990年代に3度の大学選手権優勝を果たし、小久保裕紀(元ソフトバンクなど)、井口資仁(元ロッテなど)など多くのプロ野球選手も輩出。全国で最もレベルが高く、“戦国東都”と言われる東都大学野球の中でも確固たる地位を築いた。しかし2006年春を最後に優勝から遠ざかると、2009年秋には二部に降格。この時は翌春に即一部昇格を果たしたが、2014年秋に再び二部に降格すると、2020年秋まで一度も一部に戻ることができなかったのだ。現在メジャーで活躍している吉田正尚(レッドソックス)もドラフト1位でのプロ入りだったものの、4年時は二部でプレーしていた。

 ようやく成績が上向いてきたのはコロナ禍後の2021年からだ。2021年秋に3位となると、2023年春には実に33季ぶりとなるリーグ優勝を果たすと、そこから4季連続優勝を達成。全国大会でも2023年は春の大学選手権で優勝、秋の明治神宮大会で準優勝、そして昨年は両大会で優勝を果たして見せたのだ。春秋のリーグ戦と大学選手権、明治神宮大会を制する“大学四冠”は関西大(1972年)、近畿大(1989年、1997年)、亜細亜大(2002年)、東洋大(2008年)に次ぐ史上5校目の快挙である。

 過去2年間の青山学院大の凄さはこれだけではない。ドラフト会議においても2023年は常広羽也斗(広島1位)、下村海翔(阪神1位)、中島大輔(楽天6位)、2024年は西川史礁(ロッテ1位)、佐々木泰(広島1位)と5人の選手が指名を受けており、そのうち4人が1位となっているのだ。ちなみに同一チームから複数の選手が1位指名を受けたケースは少なくないが、2年連続での複数1位指名は史上初の快挙である。チームが勝ちながらプロの選手を輩出するということを両立するのは簡単なことではなく、それをハイレベルで達成していることは見事という他ない。

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まだまだ「青山学院の時代」は続く?