しかし、「規則正しさ」を意識するあまり、ただただ平々凡々な変化のない生活を送っていて逆に負債が溜まっていきます。日々の自分の心身に合ったルーティン(反復)を知り、それを守りながらうまくストレスを「楽しむ」ことが望まれます。
いいストレスとは、「心地よい驚き」です。
ルーティンからの予測と現実のほどよい差分、予測誤差に期待することで「ワクワク」感が生まれます。平静と非日常のオンオフのいいリズムを持つことが大切です。
高齢者にとっては、ルーティンを大切にすることで、セロトニン、メラトニン、オレキシン、オキシトシン、ビタミンD、心臓血管ホルモンなどがうまく分泌されます。
オキシトシンは、性交渉、さらに愛撫や抱擁などの皮膚への接触でその分泌が増え、性別にかかわらず自分が見つけた「パートナー」を愛おしく思う気持ちを与えます。
心臓血管ホルモン(ナトリウム利尿ペプチド)は心臓から分泌されるホルモンで、血管を広げ、腎臓に働いて、余計な水分や塩分を排泄することで血圧を下げます。
セロトニン、メラトニンはそれぞれ昼のホルモン、夜のホルモンとして、日内リズムを形作ります。
オレキシンは、昼間に分泌されて、やる気、活気を与えるホルモンです。逆にその抑制剤は副作用が少ない質のいい睡眠をもたらす睡眠剤として臨床の場でよく使われています。
ビタミンDは日の光を浴びることによって作られるホルモンです(ビタミンという名前は間違ってつけられてしまいました)。骨を強くする作用が有名ですが、体の防御力を上げる作用もあり、がんの発生も防ぎます。
2021年の統計では、1年の日照時間が最も長かったのは、山梨県で2320時間、最も短かったのは、山形県の1735時間(全国平均2034時間)でした。日照時間の少ない東北地方では、大腸がんの発生が多いという調査結果があり、ビタミンDと発がんの関係が指摘されています。夏場の日中は、暑さ、熱中症さらに顔のたるみなどにも要注意ですが、一度は、外に出て太陽の光を浴びることが大切です。
こうしたホルモンをうまく利用して、老いに対する「いたわり」を持ってほしいです。創造は過去と現在とを材料としながら新しい未来を発明する能力です。