SNSには、CMスポンサーを撤退した企業に対する称賛の声があふれている。
「すばらしい決断!」「フジテレビスポンサー降板の英断に心より敬意を表します」「他の企業もこれに続くべきです」
一方、CMを続ける企業には非難が相次ぐ。
「残っている企業がうさんくさく感じる」
「スポンサーをしている間はこの企業から買いません」
「フジテレビにCM出す企業って日本人の敵じゃね?」という投稿もあった。
キリンは「人権保護」を明言
蔵元弁護士が評価するのが、キリンホールディングスの対応だ。
同社は、社の「人権方針」に基づいて、広告出稿を停止したといい、理由を下記のようにホームページに公開している。
<キリングループは企業の社会的責任として、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に則り企業活動を行い、全てのビジネスパートナーに対して当社の人権方針の理解と順守を求めています>
国連は「SDGsの達成」と「人権の保護・促進」は表裏一体の関係にあるとしてきた。SDGsを掲げる企業であれば、「指導原則」に基づいた対応が求められ、取引先企業で人権侵害を確認したときに、傍観することなく、人権侵害を是正する役割があるという。その影響力を発揮できない場合のみ、取引関係を終えることを考えるべきだとしている。
「自らの企業行動について説明したことで、一定数の消費者や株主は『キリンという企業は信頼できる』と、思ったはずです」
社会的評価の向上は経営判断からも合理的で、企業は上記のような情報発信をすべきだという。
だが、記者が各スポンサー企業のホームページを確認したところ、ほとんどの企業でCM撤退の理由はもちろん、撤退についての記載も見つけることはできなかった。