揚げ足をとられるくらいなら

 大半の企業が説明を避けたのは、積極的な判断ではなく、世間で炎上しているときは「沈黙を守るほうがいい」と防衛的に対応したからではないか、と蔵元弁護士は推察する。

 詳細に理由を説明してしまうと、揚げ足をとられるなどして、非難の矛先が自分たちに向くことを懸念する担当者の心理が影響した可能性もある。

「企業がもっとオープンにメッセージを発し合い、議論できる空間をつくっていかなければならないと、改めて思いました」

SNS「民意」への対応、正解は?

 一定以上の規模の企業なら、不祥事が起きた際の対応マニュアルを備えているはずだ。しかし、SNS上に巻き起こる「民意」への対応に正解はなく、危機対応が揺らいでいる。

 日本民間放送連盟の遠藤龍之介会長(フジテレビ副会長)は23日、記者会見で「速やかに第三者委員会の調査で事実関係を明らかにし、信頼回復の取り組みを進めることを期待する」と述べた。フジテレビと親会社は同日、日弁連のガイドラインに沿った企業から独立した第三者委員会の設置を決議したと発表した。

「それに対してもCMスポンサー企業には社会的責任があるはずです。実効性のある第三者委員会となるように後押しし、厳しく注視する姿勢を持つべきです」

(AERA dot.編集部・米倉昭仁)

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