みずほPayPayドームに設置されたホームランテラス。もともとの外野フェンスの前にテラス席がつくられた

「バンテリンに合わせると打撃が小さくなる」

 低迷の要因で挙げられるのは、得点力不足だ。昨年の373得点はリーグワースト。その理由の一つが、広い球場だとされてきた。中日でプレーした選手は「球場の広さよりも、気になるのはフェンスの高さです」と指摘する。

「スタンドにいったと手ごたえのある打球がフェンスを直撃する。昨年も細川成也、石川昂弥のホームラン性の打球がフェンスの高さに何度も阻まれました。狭い球場ならフェンスが高くても本塁打が出ますが、バンテリンだったら1メートル以上フェンスを下げてほしいですね。相手も同じ条件だと指摘する人がいますが、全然違います。遠くへ飛ばそうと意識しても本塁打にならないので、本拠地のバンテリンに合わせると、ミート重視の打ち方になる。打撃が小さくなるので、本塁打の出やすい東京ドーム、横浜スタジアムでも飛ばなくなるんです。他球団の選手がバンテリンでプレーするのは10試合近くだけですが、中日の選手は70試合近くありますから」

 フェンスの高さでいえば、現在中日の中田翔日本ハム在籍時の20年オフに、「フェン直査定」を球団フロントに要望したことが話題になった。当時、日本ハムの本拠地だった札幌ドームは両翼100メートル、中堅122メートルの広さに加えて外野フェンスの高さは5.75メートルと12球団で最も高かった。中田の会心の打球が何度も高いフェンスに阻まれ、中田はこの年に31本塁打したが、本塁打王のタイトルを獲得した浅村栄斗(楽天)に1本差で及ばなかった。このため、「フェンス直撃」も査定に入れて、と要望したのだ。

 中日は昨季23本塁打をマークした細川を筆頭に、石川、中田、福永裕基とパンチ力のある打者がそろっている。だが、昨年のチーム68本塁打はリーグ4位。ホームランテラスを設置するかフェンスを低くすれば、本塁打数が大幅に増えることは間違いない。

広い甲子園でも得点力がある阪神

 一方で、「中日低迷の要因は球場の広さが原因ではない」と指摘する声もある。

阪神も本拠地の甲子園は広く、本塁打の出にくい球場です。実際に昨年の本塁打数は中日より1本少ないリーグ5位の67本でしたが、485得点はリーグ3位で中日より110点以上多い。本塁打が出なくてもつなぐ意識が高く、ベンチワークで得点が入る環境を作り出している。球場が広くても得点が入る打線を作れます」(スポーツ紙デスク)

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低迷期を脱するには野球の質を上げる必要が