NPBを経ずにメジャーのマウンドに立った田澤純一(レッドソックス時代)

「NPBは危機感をもって制度の見直しを」

「NPBは危機感を抱いたほうがいいでしょう。ドジャースとマイナー契約を結んだ佐々木朗希がロッテで5年しかプレーしなかったことに批判の声が上がりましたが、それだったら、彼のように高校時代から抜きん出た才能を持つ選手はNPBでプレーすることを選ばなくなる時代が来るかもしれない。契約金の上限を引き上げればいいという問題ではなく、ポスティング制度を容認する基準の明確化、セカンドキャリアの観点から学業補助金の拡充や引退後のサポートなどを見直す必要があります」(スポーツ紙デスク)

 これまで、NPBを経ずに日本から海を渡ってメジャーに挑戦し、メジャーの試合に出場できたのはわずか3人。高校中退後に米国に渡って1A球団の職員兼練習生から這い上がったマック鈴木、大卒でドラフト指名から漏れて渡米した多田野数人、社会人野球を経てメジャーに挑戦した田澤純一の3人の投手だけだ。高卒から直接マイナー契約してメジャー昇格を果たした選手はいないし、野手もいない。

 だが、歴史は変わっていく。野茂英雄がトルネード投法でメジャーに旋風を起こし、イチローが史上初の10年連続シーズン200安打を達成し、大谷が二刀流で前人未到の領域を歩んでいる。森井や佐々木麟太郎がメジャーで活躍する時代が来れば、日本人選手がメジャー球団と直接契約を結ぶことも、驚きではなくなるだろう。

(今川秀悟)

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