LINEがビジネスや生活で広く使われるようになった背景にあるのは、圧倒的な普及率と利便性だ(写真:Getty Images)
この記事の写真をすべて見る

 プライベート用として使われることが多かったLINEが近年、ビジネスの場面でも使われるようになってきている。しかしまだ違和感も……。AERA 2025年1月27日号より。

【画像】4つの自動翻訳ツールで英語に翻訳してみた結果はこちら(全5枚)

*  *  *

「ポキポキ」という独特の通知音でスマホ画面に目を向けると、一緒に企画を担当している編集者からのLINEメッセージが入っていた。原稿の方向性や文字数を伝える内容だが、3日前の打ち合わせからずいぶんと話が変わっている。続けて送られてきたお辞儀するクマのスタンプに若干イラッとしながら、一言「承知しました」と返信した。

日常生活に欠かせない

 プライベートの連絡ツールという色彩が濃かったLINEが近年、ビジネスや生活の場で当たり前のように使われるようになってきている。記者のトーク履歴を確認すると、友人や家族に加え、子どもの保育園の保護者グループ、一緒に仕事をする編集者やカメラマン、取材相手、運送会社の配送通知や通っている病院の予約確認、企業公式アカウントからの宣伝、情報収集のために登録しているオープンチャットなどあらゆる連絡ややり取りがあった。いつの間にか、仕事にも日常生活にも欠かせないツールになっているのだ。

 IT系企業で広報として働く30代の女性もこう話す。

「私はこれまで、かなり頑なにLINEは純粋なプライベート用として使ってきました。仕事とプライベートで分けたいというのもありますし、パソコンからのアクセスがしづらかったり、情報保持の面で懸念があったりしたからです。数年前は大きな協業に向けた最初のやり取りの資料がLINEで送られてきて、『LINEで送るもんじゃないでしょ』って怒ったりしていたけれど、もうそんなこと言っていられなくなっています」

 趣味も兼ねて副業として始めたバーのシフト調整や給与額の通知もLINEで届く。オーナーからの「お説教」もLINEだ。あのポキポキという通知音、画面を開くと厳しめの文面、最後になぜか緩いスタンプ。

「LINEの連絡だと何となく緊張感がなくて戸惑うし、違和感がありますね。仕事の連絡でスタンプ一つポンと送られてくるとモヤモヤするというか……」

次のページ
圧倒的な普及率