圧倒的な普及率

 LINEがビジネスや生活で広く使われるようになった背景にあるのは、圧倒的な普及率と利便性だ。総務省情報通信政策研究所が去年6月に公表した「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によると、LINEの利用率は全年代(13~69歳)で94.9%。現役世代のほとんどが使っていることになる。ITジャーナリストの鈴木朋子さんはこう話す。

「LINEは当初、字数に制限がなく、気軽に送れるメッセージツールとして、キャリアメールのかわりに若者に広まりました。リテラシーの高低に関わらず誰もが同じように使えるツールになったことで初対面の人とのやり取りにも使えるし、企業にとっても魅力的で利用シーンがどんどん増えています」

 鈴木さん自身もここ数年、仕事でLINEを使う場面が大きく増えたという。

「もう8年ほど前ですが、大手出版社の雑誌の仕事でページ確認用のPDFがLINEで送られてきて驚きました。簡単なやり取りでLINEを使う場面はありましたが、ついにここまで来たかと。そのころから徐々に、仕事でも当たり前にLINEを使うことが増えた印象です」

 記者(37)の同年代に聞いても、LINEのビジネス利用は「違和感があったが、もう慣れた」という声が多かった。私自身も。だが、若い人の感覚はまた違ってきているようだ。最近取材した20代の若者と継続してやり取りする必要があり、LINEで連絡してもいいか尋ねるとこう言われてまた驚いた。

「インスタ(インスタグラム)のDMでもいいですか? それが一番見ているので」

 LINEは両親との連絡が主で、友人とのやり取りにも仕事にもあまり使わないという。写真を投稿するインスタならば、付き合いが深くない相手でも何となく人となりがわかり、使いやすいのだとか。どんなツールで連絡するか、モヤモヤしつつ試行錯誤する日が続きそうだ。(編集部・川口穣)

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