2026年ミラノ・コルティナ五輪のプレシーズンとなる今季、日本女子は百花繚乱と表現したくなるような色とりどりの強さをみせている。
今季前半のグランプリ(以下GP)シリーズでは、上位6名が進出するファイナル(昨年12月)に、日本女子は史上最多となる5名(坂本花織、樋口新葉、吉田陽菜、千葉百音、松生理乃)が出場した。
今年3月にアメリカ・ボストンで行われるフィギュアスケートの世界選手権には、ミラノ五輪出場枠がかかる。最終選考会となる昨年末の全日本選手権を経て世界選手権代表に選ばれたのは、坂本、千葉、樋口。熾烈な代表争いを勝ち抜いたこの3人が本来の滑りをすれば、ミラノ五輪出場3枠を確保できるはずだ。
世界選手権3連覇中の坂本は、GPシリーズを2連勝してファイナルに進出。ファイナルでは大会前に患った副鼻腔炎の影響もあったのか連覇は逃したが、それでも3位に入った。全日本選手権の前には胃腸炎にかかったものの、地力の高さをみせて4連覇を果たした。
坂本がGPシリーズNHK杯でマークした231.88(合計)は現時点での今季世界最高得点で、頭一つ抜けた強さをみせている。卓越したスケーティングと多彩なプログラムを滑り込む中で磨いてきた表現力により、24歳ならではの重厚感を醸し出す。日本女子の中で、今最もミラノ五輪代表に近い位置にいるといえるだろう。
昨季の四大陸選手権女王である19歳の千葉は、GPシリーズで安定感のある戦いぶりをみせた。NHK杯・中国杯とも2位で、ファイナルへの初出場を果たす。ファイナルでは、優勝したアンバー・グレン(アメリカ)と約3点差の208.85というスコアで銀メダルを獲得し、世界に存在感を示した。
ただ全日本選手権では、フリーで珍しく転倒。総合4位だったものの、ファイナル2位という実績が評価され、世界選手権代表に選ばれた。たおやかな滑りが魅力の千葉だが、全日本選手権では自らの演技に悔しさも露わにするアスリート魂をみせた。連覇をかけて臨む2月の四大陸選手権(韓国・ソウル)、昨年は実力を出し切れなかった世界選手権で好成績を残せば、世界トップクラスのスケーターとしての地位は揺るぎないものになるだろう。