感染力はインフルエンザと同程度
ヒトメタニューモには生後6カ月ごろから初感染し、2歳までに50%、5歳までに75%、遅くとも10歳までに誰でも1度は感染するとみられるという。
インフルエンザや新型コロナと同様に、空気を介して、もしくは接触によって感染する。ヒトメタニューモとほかのウイルスを重複して感染する場合もある。
「感染力はインフルエンザと同程度といわれています。ワクチンはないので、マスクや手洗いを徹底しましょう」
免疫が低下した理由は
感染に警戒すべき3つ目の理由が、ヒトメタニューモウイルスに対する免疫の低下だ。
ヒトメタニューモは通常、インフルエンザがはやった後の2~6月に流行する。海外でも同様だが、今回の中国での流行は昨年末からなので、時期が早い。
菊田医師は、「新型コロナウイルスの影響かもしれません」と言う。
たとえば、インフルエンザは例年11~12月ごろから感染が広がる。しかし、23年は残暑の厳しい9月から学校を中心に感染者が急激に増えた。コロナ禍の間にインフルエンザが流行しなかったため、インフルエンザに対する免疫が低下したことが原因の1つと見られている。
例年であれば、ヒトメタニューモの流行シーズンは来月からだ。インフルエンザとは異なり、全国の定点医療機関を受診した患者数は把握されない。
「ヒトメタニューモの患者は札幌の医療機関でもぽつぽつと出てきていると聞いています。今年の流行は例年より大きくなるかもしれません」
インフルエンザ同様、コロナ禍の間、ヒトメタニューモウイルスの患者は例年より少なかった。子どもたちのヒトメタニューモウイルスに対する免疫が通常より弱まっていると考えられる。
「感染者数が増えるので、流行の人数のピークは高くなるかもしれません」
全国的にインフルエンザの患者が急増している。ヒトメタニューモの患者が加われば、医療機関がひっ迫しかねない。感染防止には留意したい。
(AERA dot.編集部・米倉昭仁)