父との友情を確かめた、受賞の瞬間
前回、林芙美子文学賞の受賞の後に「トリッパー」に、 受賞したことについて「一種の巡礼証明書を頂いたような気がします」との言葉を載せました。今回の芥川賞も、作品を作るっていうことが基本的には孤独な行為だと思っています。誰からも知られずにひたすら歩んでいく行為の中で、証明書を頂いたと感じています。
まだ2作目ですので、これから先がどうなるかはわかっていないんですけれども、今のところ正しい、魅力的な険しい道を歩いてるよと言っていただいたような気がします。本当にありがとうございます。
芥川賞の候補になった時に、父親から手作りのブックスタンドをいただきました。受賞がわかったときも、ただ抱きしめ合っていて……父と子の友情を確かめられました。
福島という場所は、色々なことを考えると自分の原風景になっていることは確かなので、そういうものを文学の場に残せるような仕事をしていきたいです。
本当に書きたいものは、それはなんだろうな……今の文学とかを見ていて、やっぱりこう地獄的な、何かこう変な現象であったりとか、という設定が流行ってると思いますし、僕は読んでいても好きなんですね。
僕としては、あくまで自分は古くて新しい〝愛〟のものだったりを書いてみたいと思っていて。やはり最終的に自分が書きたい物語っていうのは、そういうものかなと思っています。
でもやっぱり僕はまだ、技術が足りない。 早く勉強して、考えながら書いていけたら。今回の芥川賞は、本当にその大きなステップをくださったと思っています。自分の文学にちゃんと、さらに真摯に向き合っていきたいです。すべての人、関わってくださった方に感謝しています。ありがとうございます。