第172回芥川賞(日本文学振興会主催)の選考会が15日、東京・築地の新喜楽で開かれ、鈴木結生(ゆうい)さん(23)の「ゲーテはすべてを言った」(小説トリッパ―秋季号)と安東ホセさん(30)の「DTOPIA(デートピア)」(文藝秋季号)に決まった。
鈴木さんは福島県郡山市で東日本大震災を経験し、父親の仕事の関係で小学6年生の途中で福岡市に転居した。現在は西南学院大学院で、英文学を研究している。
鈴木さんの喜びの声をお伝えする。
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この記事の写真をすべて見る何度かですね、芥川賞を受賞するこのようなシミュレーションをしたことがあるのですが、 想像を遥かに超えて華々しい場所です。
私事なんですけれども、2日前までインフルエンザで倒れていまして、それでたくさん変な夢を見て……。これもその続きなんじゃないかって思いました。これはいい夢なので、続いてほしいなと思います(笑)。
受賞の待ち会は朝日新聞社の会議室の中でした。前回の芥川賞の受賞者である朝比奈秋さんと、林芙美子文学賞を受賞された大原鉄平さんと、朝日新聞出版の編集者の方々と待っていました。待ちの間はみんなでいろんな話をしていたのですが、すごく話が盛り上がっているときに、ちょうど受賞の電話がかかってきました。
そのまま電話を取って、携帯から「受賞」という言葉が漏れて……。「受賞だ!」となった段階で、みんなで〝わーっ〟となり、どういう状況かわからなくなりました。すぐに両親と彼女に伝えて、この受賞者記者会見(東京會舘)まで来てしまっています。
東京ではない場所で原稿を書くこと……。僕が書いてるものに関しては、どこで書いても本があれば大丈夫だと思っています。大学図書館という、落ち着く環境がありますので。