投手の大野と涌井にもまだ“余力”はあると期待をする声も少なくない。
大野は2023年4月に受けた左肘クリーニング手術からの復活を目指したが、昨季は9試合の登板で2勝6敗、防御率4.87と期待を裏切った。2020年オフに結んだ契約も昨季で終了、年俸3億円から1億2000万円へ大幅減となり今季を迎える。
涌井は移籍2年目の昨季は開幕から先発ローテーションの一角を担った。しかし7月中旬に右広背筋肉離れで離脱した影響もあり、16試合の登板で3勝5敗、防御率3.07。試合を作っても打線の援護がなかったことも多かったが、満足できる成績ではなかった。
「大野は手術の影響が残っていたが昨年後半には球威も戻ってきた。ブランクで失った試合勘も戻ってくるはずなので完全復活する可能性はある。涌井も年齢的に筋肉系の故障は心配だが、投球技術の高さは変わらないので、こちらもコンディションを整えることが全てだろう」(在京球団編成担当者)
「自分でも納得いく球がいけば、まだやれるな、というのは感じた」と大野。涌井も「1年間しっかり投げて規定(投球回)も達成したい」とともに年俸更改の場で新たなシーズンへ向けて強い気持ちを語っている。
「大野と涌井には故障しないでローテーションを守って欲しい。昨季までのように打線の援護が極端に少ない試合は減るはず。厳しい状況でキツイ登板が続くかもしれないが、踏ん張って投げて続けてもらいたい」(中日OB)
中日はオフに守護神ライデル・マルティネスが巨人に流出し、近年ローテーションの柱の1人となっていた小笠原慎之介のメジャー移籍が濃厚となるなど戦力ダウンもある。だが、若手が力をつけてきているチームには未来を感じる。
投手陣では球界屈指の存在となった高橋宏斗がおり、そこに“即戦力ルーキー”の金丸夢斗が加わる。ブルペンもマルティネスが抜けたものの、橋本侑樹、清水達也、松山晋也ら駒も揃っている。野手陣も細川成也、石川昂弥、岡林勇希、田中幹也など20代の選手が独り立ちしつつある。実績あるベテラン4人が本来の実力に近いものを出してくれれば、戦えない陣容ではない。