「みなさんのおかげです」時代から数えるとなんだかんだと28年も続いている。当時コント「仮面ノリダー」でチビノリダーを演じていた伊藤淳史は今や立派な朝ドラ俳優に成長。それだけでも番組の長い歴史がわかるというものだ。
が、長ければいいというものでもない。番組もチビノリダー並みに成長しているなら問題はないのだが、もはや伸びしろはなく、制作者も演者も、惰性でやっているとしか思えないのだ。
ここ何十年のメイン企画は「新・食わず嫌い王選手権」。これに「モジモジくん」「きたなトラン」「男気ジャンケン」を挟むほか、若手芸人たちと戯れる企画を少々。
目立つのは、ジャンケンで負けた人が高額自腹支払いをする「男気ジャンケン」や、高額商品を無理やり買わせる「買うシリーズ」などいつまでバブルやってんだか、と失笑するしかない企画ばかり。フジテレビが世間に嫌われている理由はまさにそこ、「いつまでバブルやってんだか」なのだが、それを悪びれることなくやり続けるのは、よっぽど信念があるのか、まったく何も考えてないか。
それでも、百歩譲って、独自性のある企画を見せてくれるなら許せる。が、7月に第1弾、そして、今回、第2弾だった「あなたはどっち? 気分爽快!ビアホール」にはもうがっかりだ。
とんねるずの2人を含む5人の回答者(泉谷しげる・ホラン千秋・おぎやはぎ矢作)がビールに合うおつまみはどちらかを選び、全員一致なら、ビールとおつまみを食べることができるというもので、「ポテトサラダvs.枝豆」「カキフライvs.アジフライ」「焼き鳥vs.焼きとん」「お好み焼きvs.焼きそば」をジャッジする。それぞれの店や料理の紹介をVTRで見せた後、椿鬼奴と山崎夕貴が試食して美味しさを伝え、それらを踏まえたうえで、食べたいほうを選ぶという趣向。
賢明な読者はもうお気づきだと思うが、これってまんま「どっちの料理ショー」(読売テレビ)ではないか。2006年に終了したとはいえ、人気番組だったので覚えている人は多いはず。それをそのままいただく神経がわからない。
テレビ60年のなかで、バラエティの企画もやり尽くしており、偶然どこか似てしまうこともあるかもしれない。が、さすがにこれはない。まだ見ぬ新企画を、と日夜奮闘している番組もあるのに……。
「どっちの料理ショー」の関口宏に成り代わって「喝!」&「今月のダラクシー賞」を贈る。
●ひやま・たまみ 先日、ちらっとテレビに映りました。恥ずかしくてまだ見ていないと母に言ったところ、「見たほうがええで。本気で痩せなって思うわ」と。あんまりです。