スポーツは結果が出たものに対しての興味関心は高く、素直に一度その効用を試してみたいと考える競技、選手ほど強くなる。チームジャパンという意識が広く定着してから、「好結果には理由があるはずだ」と、てらいなく耳を傾ける人たちが増えたことも、チームジャパン全体の活躍度アップにつながっている。もちろん、それぞれの競技、選手はまずは独自のやり方にこだわり、簡単に真似できるわけではないのは、トップレベルにおいてはあたりまえのことだ。
JOCでは、チームビルディング研修の受講を希望する競技のコーチ、選手にさまざまな内容の研修を実施している。たとえば「競泳はどのようにチームワークを高めていったか」をメダリストに生の言葉で話してもらったり、チームビルディングのトレーニング(ビジネス研修でも行われているゲームやディスカッション、ワークを通しての学び)などを行い、自分たちにとってのチームワークとは何か、どう行動すると高いパフォーマンスの実現につながっていくかを、選手たち自身が考え、具体的な行動にへとつなげていっている。
たとえばライフル射撃の選手は、研修のメリットを次のように語った。
「この研修を受けるまでは所属が違うと、大会のときだけ会って、ほとんどあいさつぐらいしかしたことがなかったので、オリンピック最終予選のときなども、自分のことしか考えられなかった。
それが味の素トレセンができて、合宿も何度か行い、チームビルディング研修を毎回受けたことで、最終選考会のときなど“みんなでオリンピックに行こう”という空気が自然に生まれて、“僕が初日に代表権を取るので、続いてください”というような、声かけが行われるようになった。みんなでこのライフル射撃という競技をもっとメジャーにしていこう。
それぞれがそのために何ができるか。そんなディスカッションを通して、チームライフル射撃としての目標が持てて、チームワークも育まれたように感じますし、たいへん有意義な研修だったと思います」
ライフル射撃は、ロンドンオリンピック出場の3選手の2倍にあたる、6選手をリオデジャネイロオリンピックに送り込むこととなった。東京オリンピックではさらに大人数を送り込み、メダル獲得の可能性も見えているという。