西武鉄道「清瀬駅」の構内に展示された中森明菜のメッセージボード。今年7月13日の中森明菜の誕生日には多くのファンが訪れていた 撮影/太田裕子

 NHKは今春にNPRからライセンスを受けて、9月から「tiny desk concerts JAPAN」(毎週月曜午後11時)を放送している。これまでに藤井風、稲葉浩志、チャラン・ポ・ランタン、小沢健二+ゲスト・スチャダラパーなどが東京・渋谷のNHK本社のオフィス内でライブを行った。

 スージー鈴木さんは、「tiny desk」に期待する理由をこう話す。

「『tiny desk concerts』は、本当に職員が働いているオフィス内でやるので、サウンドが加工・修正できないし、爆音にできないし、ボーカルにエフェクトもかけにくいという、まさにリアルな生演奏なだけに、アーティスト自身の腕っぷしが見られます。そこで、中森明菜は少数精鋭のジャズバンドとともに、例えば『TATTOO』をサラリと歌い、歌唱後に小泉今日子が花束を持って現れる!(笑)」
 

中森明菜待が復活する意義

 1982年にデビューし、「花の82年組」と言われた同期からの祝いの花束は夢物語かもしれないが、中森明菜の紅白待望論には、そこに意義があるのではないかと、スージー鈴木さんは言う。

「手を変え品を変え、時代の最先端を歩んできた小泉今日子に対して、ブランクもある中森明菜。中森明菜は2025年に還暦の年齢を迎え、当時からのファンも同世代で人生の違う局面を迎えています。中森明菜の新たなスタートを紅白で華々しく見せ、またそれを小泉今日子が祝うのにすごく意義があるし、同世代に勇気や励ましを与えることになると思います。     

 バブルを経験し、のちにバブルが崩壊し、失われた30年を必死に生き抜いてきた、私含むアラウンド還暦のみなさんが、新たな人生に向けて悶々としている中で、中森明菜紅白待望論が巻き起こるのは、中森明菜自身が新たな人生のプロトタイプを見せてくれることへの期待の声でもあると思うのです」

(AERA dot.編集部・太田裕子)

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