いしわたり淳治さん。1997年にロックバンドSUPERCARのメンバーとしてデビューし、バンド解散後は、作詞家・音楽プロデューサーとして、数多くのアーティストを手掛けている(撮影/小財 美香子)
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「愛をこめて花束を」(Superfly)、「世界は君に笑いかけている」(Little Glee Monster)、「ツキヨミ」(King & Prince)など数多くのヒット曲を手がけてきた作詞家・いしわたり淳治のコラム集第2弾「言葉にできない想いは本当にあるのか2」が上梓された。朝日新聞デジタルマガジン「&M」の人気連載『いしわたり淳治のWORD HUNT』を再編集した本作。時代を反映した流行語やバラエティ番組で芸人が発したひと言、さらにいしわたり自身が注目する歌詞の分析など、"言葉"が持つ力や背景を独自の視点で解説している。

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「言葉はコミュニケーションツールでもあるし、みんなで遊べる道具でもある」と語るいしわたり。「言葉にできない想いは本当にあるのか2」を軸にしながら、“言葉”へのスタンス、自身の創作論などについて聞いた。

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――コラム集第2弾「言葉にできない想いは本当にあるのか2」、興味深く読ませていただきました。いしわたりさんはやはり、普段から言葉に対するアンテナを立てているんだなと。

 自分では普通だと思っていたんですけど、自分が書いたものが本になると「こんなに言葉のことを考えていたんだな」と。この連載、もう7年くらい続いているんですよ。僕がテレビの音楽番組で歌詞の解説をしているのを編集者の方が見て、「連載をしませんか」とお話をいただいて。最初は「音楽のことを語っても、専門的な話になって面白くないですよ」とお断りしたんです。その後、「身の回りやテレビで拾った言葉をテーマにするのはどうだろう」と思い付いて、こちらから提案させてもらったのがきっかけですね。格式高い百貨店というよりドン・キホーテというか、いろんなものがゴチャゴチャ入っている連載を目指そうと。

「テレビの言葉に興味がある」と語るいしわたり淳治さん(撮影/小財 美香子)

――確かにこの本で取り上げられているのは、普段は聞き流してしまうような、ちょっと笑ってそのまま忘れそうな言葉が多いですよね。

文学作品みたいな言葉は圧倒的に少ないですね。崇高なものにはあまり興味がないし、名言ってカッコ良すぎるじゃないですか。「いいことを言ってやろう」と待ち構えているのもイヤだし(笑)、会話に詰まったときに「そういえば……」って話題に出してもらえるような温度感がいいのかなと。

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「テレビの言葉」の面白さ