それでは、幹事を通じてダンドリ力が向上するとどんなメリットがあるのか? 私は以下の3つだと考えている。

 1つひとつ解説していこう。

忘年会の幹事をやる3つのメリット

(1)プロジェクト管理の基礎が身につく

 まず、ダンドリ力がアップすることで、プロジェクト管理の基礎が身につく。これは大げさではない。

 たとえばダンドリよく物事を進めるには、まずプロジェクトとタスクの違いを理解することが重要だ。プロジェクトはタスクの集合体であり、タスクは作業の最小単位である。忘年会の幹事は、この基礎を学ぶのに最適な機会となるだろう。

 大プロジェクト(忘年会を開催する)、中プロジェクト(日程調整/予算決定/店舗選定など)、小プロジェクト(メンバー募集/予約/座席配置など)と階層化して考えることで、「やるべきこと」が明確になる。

 タスク処理の手順は変えられないが、プロジェクト単位であれば優先順位を臨機応変に変えられるし、変えなければならない。

「日ごろ育児に忙しい女性社員を特にねぎらいたい」と主催者の部長が言っていたのなら、店舗選定の前に何を優先させるべきか分かるだろう。

 日ごろ育児に忙しい女性社員たちが参加しやすい日時を調べず、部課長のスケジュールだけチェックして日程と店を選定したら、こう言われるだろう。

「ダンドリが悪すぎる!?来てほしい女性社員がほとんど参加しないじゃないか」

(2)リソース調整の実践経験を積める

 忘年会の幹事には、5つのリソース(人・物・金・情報・時間)の調整が不可欠だ。とくに「人×時間」の調整が最も難しい。全員の都合を合わせることは困難だが、誰を優先的に参加させるべきかを考えることで、ビジネスにおける判断力が養われる。

 また、リソースの調整には人間関係の構築も欠かせない。キーパーソンとの良好な関係を築くことで、スムーズな調整が可能となる。

「本部長は基本的に参加されないが、一応声をかけてくれ。誰よりも早く。自分の知らないところで勝手に忘年会が開かれていたことを知ったら、大変なことになる」

 この経験は、後の仕事でも必ず活きてくる。

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