あくびをする肉食のタスマニアデビル/多摩動物公園(東京都)
あくびをする肉食のタスマニアデビル/多摩動物公園(東京都)
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敷きワラを運ぶタスマニアデビル/多摩動物公園(東京都)
敷きワラを運ぶタスマニアデビル/多摩動物公園(東京都)
威嚇をし合うタスマニアデビル/多摩動物公園(東京都)
威嚇をし合うタスマニアデビル/多摩動物公園(東京都)
写り込みで小屋の中がよく見えないタスマニアデビルの展示場/多摩動物公園(東京都)
写り込みで小屋の中がよく見えないタスマニアデビルの展示場/多摩動物公園(東京都)

 動物たちの“幸福な暮らし”を実現するため、具体的にどうすればいいのか? こうした「環境エンリッチメント」という観点から、全国で個性的な動物園が増えています。そんな動物園の動物たちの日常を撮り続けている、動物・写真家のさとうあきらさんの連載「どうぶつサプリ」。今回は、多摩動物公園にやってきた「タスマニアデビル」を撮影します。

【タスマニアデビル撮影のコツをフォトギャラリーで紹介】

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 タスマニアデビル展示場の前で大学生グループの一人がスマホで写真を撮っていました。「うわーぁ、ガラスが反射して写らないよー」と大きな声で叫びます。ガラスには、手前の草や柵、さらに周りに居る人々のカラフルな服装までも写っているのです。

 被写体の手前にガラスがある場合は、レンズの先にゴム製のフードを付けてガラス面に押し付けるようにすれば、余計な写り込みを防ぐことができます。しかし、タスマニアデビル展示場のガラスは、人が近づくことが出来ない距離にあるので、これは出来ません。ほかの方法として、「PL(偏光)フィルター」をレンズに取り付けることで写り込みが軽減されます。ただ、これもカメラの位置を少し動かしただけで効果が変化するので、使用するにはカメラを固定して構える必要があります。

 来園者にとって「見やすい展示」は、写真が「撮影しやすい展示」だと言えます。今回の撮影地である多摩動物公園は、無柵放養式(むさくほうようしき)というおりがない展示方式を大型の動物を中心に採用しているので、日本の中でも撮影しやすい動物園の一つです。

 しかし、タスマニアデビルの展示では、動物が行動する面積が広く使えて、人間からの感染症も防ぎやすいガラスを採用しています。ガラスを使用した展示では、ガラス面と来園者側を光が当たらないように暗くしないとガラスに余計な写り込みが出て動物を見ることも撮影することも難しい現象がおこります。ただ、これは無い物ねだり。どんなものでも、与えられた条件の中で、どんな撮影が出来るのか、を考えるべきでしょう。

 タスマニアデビルの展示場には、もともと別の動物が暮らしていました。言いかえれば、タスマニアデビルのために作られてはいない展示場ということです。そんな場所で、飼育担当者は、動物たちの行動範囲を増やすため壁面や小屋の上に登れるよう木を立て掛けたり、暑さを和らげるために小屋の屋根に木の枝をかぶせたり、エサをワイヤでつって食べる時間を延長したりと努力していることがわかります。このように展示場の内部では、与えられた条件の中でがんばっている飼育担当者がいます。それを知ってしまうと、外部の私も現在の条件の中で、どうすれば良い撮影が出来るのか考えよう、とファイトが湧きます。

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