FA市場には補強ポイントの投手がいるのに
今オフのFA市場では、先発で実績がある石川柊太(ソフトバンク)が推定年俸1億2000万円で人的補償が必要ないCランクのため、一番人気で争奪戦になっている。オリックス、ロッテ、ヤクルト、巨人の4球団が獲得に向けて調査をしていると報じられた。また、広島で先発の柱として活躍してきた九里亜蓮も海外FA権を行使したことを表明。メジャー挑戦を視野に入れているが、国内他球団の移籍も選択肢に残しているという。
中日とすれば、石川や九里は補強ポイントに当てはまる投手だ。FAで獲得に動いても不思議ではないが、その動きは報じられていない。中日を取材するスポーツ紙記者は、こう語る。
「マルティネスの残留交渉が決着していないので、他の選手の補強に動けない部分があると思います。残留となれば支払う年俸がかかりますし、FA補強にかける資金が厳しくなる。最も避けたい事態は、マルティネスの交渉が長期化して他球団に移籍するケースです。マルティネスを失う上、FA市場で石川や九里の獲得レースに参戦できなくなってしまう。ドラフト1位の金丸夢斗(関西大)、ドラフト2位の吉田聖弥(西濃運輸)は共に先発ローテーションに入る力を持った即戦力左腕ですが、新人に過度な期待は禁物です。井上一樹新監督は先発陣のやりくりに頭を悩ませると思います」
一方で、違う見方もある。中日OBはこう指摘する。
「マルティネスと他の補強は別物です。残留交渉が長引くことは想定しているでしょうし、FAで補強が必要な投手と判断するなら獲得に動くべきです。資金面で厳しいと言われますが、そうは思いません。今年の推定年俸が3億5000万円だったダヤン・ビシエドの退団が決まり、推定年俸3億円の大野雄大、2億5000万円の大島洋平も大幅減俸が避けられない。小笠原のメジャー移籍が決まれば、譲渡金が入ってきます。高橋宏斗、細川成也は年俸が大幅に上がるでしょうが、3年連続最下位に低迷した状況を考えるとベテランを中心に減俸の選手が多い。今年の観客動員数は好調でしたし、マルティネスに年俸8億円を払っても、FA補強に資金を捻出できるはずです」