ソフトバンクでも「取り組む姿勢が変わった」
25歳は決して若い年齢ではない。同学年の村上宗隆(ヤクルト)は球界を代表するスラッガーとしての地位を確立し、今季は本塁打、打点の2冠王に。清宮幸太郎(日本ハム)も故障で出遅れた影響で89試合出場にとどまったが、打率.300、15本塁打、51打点をマーク。得点圏打率.394と勝負強さを発揮し、2年連続最下位から2位でCS進出に大きく貢献した。
環境を変えることで、才能が引き出されるケースが身近にある。ソフトバンクから昨オフに現役ドラフトで日本ハムに移籍した水谷瞬だ。ソフトバンクでは選手層の厚さに阻まれて1軍出場なしに終わったが、新天地で覚醒した。交流戦で歴代最高打率.438をマークしてMVPに輝くなど、97試合出場で打率.287、9本塁打、39打点を記録。試合に出続けて結果を残すことで、自信が生まれる。課題だった外野の守備でも好守で幾度もチームのピンチを救った。
未完の大器・リチャードについても、現役ドラフトやトレードの要員と報じられることもあるが、ソフトバンクの関係者は複雑な表情を浮かべる。
「芽が出ていませんが、将来の4番として活躍してほしい選手です。以前はプロ意識の甘さが見えましたが、取り組む姿勢が変わりました。何かきっかけをつかめばガラリと変わると思うんですけどね。CSファイナルステージを控えていますし、勝ち抜けば日本シリーズと戦いが続きます。厳しい立場ですがアピールしてほしいですね」
本塁打を打てるのは稀有な才能だ。他球団も惚れ込む逸材は、花を咲かせられるか。
(今川秀悟)