つまり生成AIの大規模言語モデルにもとづいて文書を読み込ませることまでは、著作権法に触れない、とした。では、出典を明示せずに利用することについてはどうか、ということについては、専門家の間でも意見が分かれはっきりとしていない。
日本新聞協会は、現在の生成AIのサービスは、「報道コンテンツを無断で利用しているうえ、記事に類似した回答が表示されることが多く、著作権侵害に該当する可能性が高い」と7月に声明を出しているが、新聞社によっては、生成AIの関連会社と共同事業を始める会社もあって、足並みはそろっていない。
OpenAI社は日本でも、すでに主要な新聞社に接触を始めている。
米国でも、ウォールストリート・ジャーナル社やAP通信は、OpenAI社と契約を結び、金銭をうるかわりに、ChatGPTに自社の記事を読み込ませることを認めている。
日本でも同様に金銭的な解決ですめば、ということなのだろう。
日本の新聞社の鍵がかかった記事も、実は、生成AIの会社には、だまって読み込まれている。OpenAIではないが、他の生成AIが、新聞社の記事をほとんどそのままパクってチャットで表示する例も実際に私は見た。
オプトアウトと言って、その社の記事を読み込まないようにしてくれと言えば、読み込まないとOpenAIは言っているのだが、ニューヨーク・タイムズの訴状をみると、そうではないことははっきりわかる。
先日、新聞社と協同事業をするという生成AI関連会社の幹部と話をした。
日本における著作権法第30条の4についての議論になった。
著作権はクリエーター(作家)にとっては、創作のインセンティブになくてはならないものだと私が主張をすると、社会の課題解決に役にたつのであれば、著作権のフェアユースは日本でも認められていいのではないか、と答えた。
著作権の侵害と考えられるケースに日本の場合、第30条の4によって「フェアユース」が認められるか否かは、裁判でもやって判例がでないかぎりわからない。
私はニューヨーク・タイムズのように、そうした社も日本でも出てくると考えている。
※AERA 2024年11月18日号