レビットタウンで最も保守的な地区の投票所(撮影 津山恵子)

ブルー支持の地域がレッドに

 2020年大統領選挙ではバイデン氏が獲得したレビットタウンを含むバックス郡は、今回、わずか500票差でトランプ氏がもぎ取った(地元局6ABCアクション・ニューズ)。同郡と同様に、中西部の激戦州ミシガン州のデトロイトなど大都市周辺のベッドタウンで、トランプ氏は伝統的にブルー(民主党の色)支持だった地域をレッド(共和党の色)にひっくり返した。南部ジョージア州や東部ペンシルベニア州などバイデン氏が勝った激戦州で軒並みこの現象が起きた。

 トランプ氏の支援者は、かつては「白人」「男性」「中高年」「低学歴」という属性が際立っていた。しかし、今回取材したトランプ氏の集会では、女性や若い人が目立っていて驚いた。白人は依然として圧倒的に多いものの、黒人やヒスパニック、LGBTQといった人種的・性的マイノリティーもかなり交じっていた。16年の集会では、人種的マイノリティーは記者も含め、肩身が狭く、恐怖感を味わったのとは様変わりした。

「共和党は、インクルーシブな党になった!」

 トランプ氏は10月27日、ニューヨーク・マンハッタンのど真ん中、マディソン・スクエア・ガーデンで開いた集会でこう宣言した。

 女性、若者、マイノリティー、労働組合といえば、これまでは民主党の支持層とみなされてきたが、トランプ氏は彼らを見事に惹(ひ)きつけた。ニューヨーク・タイムズ紙によると、ヒスパニック系が多い郡で共和党に投票した人は20年に比べて13.3ポイント増、ネイティブ・アメリカンが多い郡で10.0ポイント、黒人が多い郡で2.7ポイント増えている。共和党は20年からヒスパニック系の多い郡を獲得しているが、ネイティブ・アメリカンと黒人の多い郡は、今回トランプ共和党がハリス民主党から奪い取った。

誤った情報信じる傾向

 若者が多い郡も民主党から共和党が奪い取り、共和党支持が5.3ポイント増、組合員が多い製造業従事者が多数派の郡も3.4ポイント増となっている。

 米メディアや世論調査機関はこれまで、ジェンダーや人種などの属性で、共和党寄りか民主党寄りかを判断してきたが、もはや通じなくなった。

 集会で話を聞いたトランプ支持者は、属性に関係なく、「インフレ・物価高による生活苦」「不法移民が入れない国境の安全」など、自分たちが懸念する課題でトランプ氏を支持していることが分かる。「ハリス副大統領が大統領になったら、さらに物価が上がる。トランプ氏なら物価は安定する」と吹き込まれれば、トランプ氏に投票するだろう。「黒人だから民主党を支持する」という属性に関係なく、トランプ氏が次々に発信する誤った情報を信じる傾向も強くなった。

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