最後の最後に「大ハプニング」が…

 というわけで番組が走りだした瞬間から、「2秒押し!」とか「16秒巻き!」とかすごく細かく指示がくるのです。そんな細かく言わなくても〜と思うのですが、一つ一つが勝負。

 とはいえ、長い道中、時間は巻いたり押したりいろいろ。その度に細かく計算して、どこで取り返すか全員が考えて、司会陣は、時間が押していれば「次のこの1行切ろう!」。と思えば、ステージの準備に時間がかかり「なんとか1分つないで!」という指示もくる。瞬発力とその時々の判断力が求められます。大まかな指示はくるけれど、考えて動くのは自分。台本通りにいくところばかりではないので、司会者は相当な胆力が必要とされます。なので最初から最後まで油断は大敵。

 毎年紅白は必ず見ていますが、若い女優さんなどが、実際は大変な現場なのに、のびのびと楽しそうに司会しているのを拝見すると、さすがだなあ!と感心してしまいます。

 もうこの時代に紅白でもないでしょう、と言われたりしますが、私はやっぱり大みそかは紅白をやってほしい。一度失ったものはなかなか取り戻せないから、この平和な日本の大みそかの紅白の歴史だけは、ずっとずっと守り続けてほしい。

 そうそう、私が総合司会した紅白は、数々の「2秒押し!」「3秒巻き!」を乗り越えて、最後の最後に得点集計システムがぶっ壊れるというおまけつき。あかんやん、絶体絶命〜と思いきや、突如回復するという奇跡が起こり、さあ紅白どっちが勝ったか数えてみましょう〜と、玉入れの玉を数え始めたら紅組のかごには一個も入ってなくて顔面蒼白(そうはく)。 

 大トリのSMAPが「世界に一つだけの花」を歌ってすべてをかっさらって、白組が歴史的大勝をおさめた年でした。

 どんなに準備しても何が起こるかわからない。そしてそれがまた面白い。人生と同じね。

 さて今年も残すところあとひと月半。終わりよければ全てよし。大みそかの最後の瞬間を目指して、今年の悔いを残さぬように2024年を共に駆け抜けましょうぞ!

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