――3月に東京ドームで開催された、TOBE所属アーティストが一堂に会した「to HEROes ~TOBE 1st Super Live~」では、誰よりもファンの心に寄り添った。「会いたかった? 俺らも会いたかったよ」「みんなが好きな人に会えて本当に良かった」という三宅のMCは、客席はもちろん、配信で観ているファンも大いに沸かせ、ベテランアイドルの存在感を見せつけた。
ずっと忘れない気持ち
三宅:僕のファンだけでなく、他のアーティストのファンのみなさんも、一時はもう会えないかもしれないという喪失感を抱いて、どうしようもなく悲しい日々を過ごした時間があったと思います。それは僕たちも同じで、当時の気持ちを僕はずっと忘れないと思う。そこからの初の再会ですから、あのときドームに来てくれた人も、そして配信を観てくれた人も本当に嬉しかったと思う。そんな気持ちをそのまま言葉にしただけですけど……またみなさん、僕のファン以外の方も誰に言われるわけでもなく、示し合わせたかのようにペンライトを僕のメンバーカラーであるオレンジに染めて、オレンジ色の海を作ってくれた。それが本当にキレイで、その気持ちがすごく嬉しかったです。ところどころ遠慮がちに、昔の僕のソロコンサートのグッズだった青いクマのペンライトが光っているのも嬉しかった。あれは僕とファンの人たちだけがわかる合図でした。
ただ、僕は後輩たちよりも楽曲制作が遅れていたので、世の中に2曲しか発表してないから、ドームでいきなり初披露した曲が4曲もありました。僕のファンのみんなも知らない曲だから盛り上がりようがなかったかな、という反省点はあります(笑)。次のライブまでに、まずはアルバムを聴いていただいて、しっかり一緒に盛り上がりたいですね。
――6月には東京・有明アリーナで単独公演を開催する。TOBEのアーティストたちが同じステージを使いながら、それぞれ単独公演を開催していく試みだ。
僕にしかできない表現
三宅:ドームはお祭り感というか、同じ場所で同じ日時に一堂に会して開催されたフェスというイメージが強かったですが、今回は同じステージで同じ機構を使いながら、それぞれが単独ライブを作りあげていく。オープニングからして全く違うものになるだろうし、個性の違いが際立って面白いものになるのではないでしょうか。僕も僕にしかできない表現を追求したいと思っています。
ここ数年はずっとコロナで声が出せなかった。ドームでは久々にファンの人たちの歓声を聞けたことにとにかく感動しました。やっぱりライブって、思いっきり声を出したり、弾けたりすることで、その瞬間だけは、日常のなかにある大変なことを忘れて心を解放できるところが醍醐味でもあると思う。全力でその瞬間を楽しんでほしいし、僕も全力で楽しみますし、明日への活力を蓄えて帰っていただけるようなパフォーマンスを届けたいと思っています。
(構成/ライター・大道絵里子)
※AERA 2024年5月27日号