小学生のときに母が作ってくれたクッキーがとてもおいしかったことや、やっと買ってもらったキャラクターのレッスンバッグの前面に母がペンで大きく名前を書いてしまって、自分が大泣きしたのに母が大笑いしたことなど。そのような母との小さなエピソードを思い返し、話すことが、いつの間にか彼女の心をおだやかにしていきました。
自分では抱えきれない想いや困難がある場合には、信頼できるまわりの人に、自分から頼ってみることも大事ではないでしょうか。
だれかに頼ることは、人によっては簡単なことではないかもしれません。
ほかの人に迷惑をかけたくないと思う人もいれば、弱いところを見せたくないという人もいるでしょう。
年配の男性は頼り下手な印象がありますが、性別や世代による違い以上に、個人差が大きいように思われます。
どうしていいかわからない…
あなたからのSOSを待っている人が、すぐ近くにいるかもしれません。
思いきって頼ってみると、期待していたよりも大きな力になってくれることもあると思うのです。
ときおり私どものところに、「大切な人を亡くして悲しんでいる友人にどう声をかけたらいいのでしょうか」と相談に来られる人がいます。
力になってあげたいのにどうしていいかわからない……。周囲の人の正直な気持ちなのだと思います。
周囲に心配や迷惑をかけまいと過度に遠慮することが、相手のためになるとはかぎらないものです。
あなたに頼りにされることは、まわりの人にとってうれしいことである場合もあります。