日本学術会議の会員任命拒否問題も再検証を

 日本学術会議の会員の任命拒否についても、検証して、次の任命の時には、内閣が干渉することはしないと宣言し、必要があれば、そうした介入を不可能にする学術会議法改正案を提出するのも比較的容易だ。

 もちろん、自民党内では、旧安倍派高市早苗前経済安保相、小林鷹之元経済安保相などの「右翼守旧派」勢力が強硬に反対する可能性は高いが、彼らの力は今回の選挙で大きく削がれた。石破氏が彼らの反対を押し切って戦う姿勢を見せれば、右翼守旧派への批判は高まり、それと同時に石破人気回復の効果は一層高まる。これは、石破氏の自民党内の基盤を強化することにもつながるので、一石三鳥だ。

 さらに、逆風に悩む石破氏に追い風も吹いてきた。

 10月29日、国連の女性差別撤廃委員会が選択的夫婦別姓を可能にする法改正を行うよう日本政府に勧告を出した。これが4回目ということだから驚いた方も多いだろうが、世論の過半はこれに賛成なので、これまでと異なり、注目度が上がっているため、マスコミも積極的に報じることになったのだろう。

 また、同性婚を認めない現行の法制が憲法違反かどうか争われた全国5地裁の六つの裁判では、違憲2件、違憲状態3件、合憲1件と判断が分かれていたが、今年3月の札幌高裁判決に続き、10月30日に東京高裁でも違憲判決が出た。これで流れがほぼ決まったと言っても良いだろう。マスコミも大きく報じ世論の関心も高まっている。

 石破氏は、総裁選の時に選択的夫婦別姓にも同性婚にも前向きの発言をしていた。一方、いずれの問題についても自民の右翼守旧派は反対だから、ここでも対決の構図を作り、安倍政治終焉を印象付けることが可能だ。法律改正が必要だが、賛成が多数になっている世論を背景に、賛成する野党の協力を得れば、自民党内の賛成派も呼応するだろうから、あとは、石破氏が党議拘束を外せば、容易に成立させることが可能だ。

 さらに、安倍政治の中で一時大きく問題とされた日本学術会議会員の任命拒否問題についても、野党の協力を得て、政府が介入することができなくなるような法律改正案を出して、次回の任命時には、学術会議が選んだ会員を全員任命することを宣言することもまた安倍政治の否定をアピールする材料となる。

 この問題については、菅義偉元首相が安倍内閣の官房長官の時から深く関与していたので、菅氏の不興を買う可能性は高いが、彼が反対してくれれば、むしろ、潜在的な反対勢力である菅グループの力を削ぐ上でも効果がある。

 これらの実績を一つ一つ積み重ねていけば、石破氏への評価は再び上がることは確実だ。

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