しかし、プロ野球に非日常の世界を求めるファン側からすると納得いかない部分もあるだろう。「へたくそだと思うんですよ、球団が。ファンをこういう気持ちにさせるのは正直、良くない」と大の楽天ファンとして知られる芸人のサンドウィッチマン・伊達みきおがラジオで意見を述べるなど、ファンが置き去りにされた感もある。
だが、プロ野球の球団は“公共財”としての側面だけではなく、必ずしもファンファーストというわけにはいかない。
「結局はファン(=客)と球団(=経営者)の考え方は一致しない。時間とお金を使うファン側は自分の気持ちを満たしたい。経営者は利益を出して会社を回して生活しなければならない」(在京テレビ局スポーツ担当)
「(球団が低迷すると)『身売りしろ』という声をよく聞く。しかし両リーグ各球団の経営が好調の中、よほどでなければ身売りを考える球団はない。その状況を支えているのは熱心に応援するファンの方々であることも理解すべき。本気で身売りを要求するならファンは行動で示さなければいけない」(スポーツマーケティング会社関係者)
監督問題だけでなく、中日や西武のような低迷する球団に対しても厳しい声が飛び交っている。しかし両球団とも観客動員は好調でグッズ売り上げを含め球団収入は右肩上がり。本気で「身売り」を要求するのなら球場に行くことを控えることなどで球団に思いを伝えることはできるはずだ。
「ファンと球団は持ちつ持たれつの関係で、どっちがダメになっても上手く進まない。楽天の問題ももう少し情報開示などをできていれば異なった形になったかもしれない。時代は変わっても最後は人と人なので、コミュニケーションを取りながらやって行くしかない」(NPB関係者)
SNSの普及により、ファンの声もダイレクトに届くなった時代。「プロ野球の球団は誰のものか?」というものが改めて議論されているが、互いに寄り添うことでより一層球界が発展するのは間違いないだろう。