24日に行われたドラフト会議で、会心の指名ができたのは中日だった。
アマチュア球界№1左腕・金村夢斗(関西大)の1位指名で、中日、DeNA、阪神、巨人の4球団が競合した。壇上に中日の井上一樹新監督、DeNA・三浦大輔監督、阪神・藤川球児新監督、巨人・阿部慎之助監督が並ぶ。井上監督は真っ先にクジを引き、硬い表情で3人の監督が抽選を引くのを見守って、一斉にクジを開いた。「交渉権確定」の文字を確認すると、何か叫びながら左手を投げおろすようなド派手なガッツポーズ。会場に詰め掛けた観客がわいた。
その後、井上監督は表情をゆがめ、左肩をさすってからのインタビューで、「(左肩を)脱臼しました。(頭が)真っ白になりました。たぶん今までで一番大きなガッツポーズをしたと思います。4球団並んだときに『どうしてもほしいな』と思いながら、念を送っていました」と興奮を抑えきれない様子で話した。
「今回のドラフトは井上監督が完全に主役でしたね。同一リーグの3球団と競合して金丸を獲得できたことに大きな価値がある。2位以下でも希望していた選手を獲得できましたし、最高のドラフトと言えるでしょう」(スポーツ紙デスク)
補強が必須だった先発投手陣
3年連続の最下位に沈んだ中日だが、野手は岡林勇希、細川成也、福永裕基、村松開人、石川昂弥と核になる選手が台頭してきている。リーグワーストの373得点と長年の課題である得点力不足は解消できなかったが、他球団に見劣りする陣容ではない。外国人選手の補強を含めてポイントゲッターがもう1枚稼働すれば得点力は上がるだろう。
一方、より大きな不安材料は投手陣だった。先発のチーム防御率3.32はリーグ5位。 計算できるのは今季12勝4敗、防御率1.38で、最優秀防御率のタイトルを獲得した高橋宏斗のみで、ほかの先発投手は5勝以下。先発陣を牽引してきた30歳代の大野雄大、柳裕也にいつまでも頼るわけにもいかない。さらに今オフ、小笠原慎之介がポスティング・システムでメジャー挑戦することを球団が容認した。即戦力の先発投手が補強ポイントであることは明らかだった。