「金丸、吉田が新人王争いならAクラス」
先発不足を解消するために、このドラフトは重要な意味を持っていた。のどから手が出るほど欲しかった金丸の交渉権を獲得し、井上監督が喜びを爆発させたのは無理もないだろう。
「金丸はケガさえなければ、1年目から2ケタ勝利を十分に狙える。総合力の高さは今年新人で10勝をあげた武内夏暉(西武)と遜色ないレベルです。2位で即戦力左腕の吉田聖弥(西濃運輸)を指名できたことも大きい。手元でホップするような軌道の直球とチェンジアップで奪三振能力が高く、杉内俊哉(現巨人1軍投手コーチ)の現役時代と重なる。金丸と吉田が切磋琢磨して新人王を争う活躍を見せれば、リーグ優勝とはいかなくてもCS進出圏内のAクラスは十分に狙えます」(名古屋のテレビ関係者)
正捕手が固定できなかった中で、社会人№1捕手の呼び声が高い石伊雄太をドラフト4位で指名できたことも大きなプラスだ。3位の森駿太(桐光学園高)、5位の高橋幸佑(北照高)、6位の有馬恵叶(聖カタリナ学園高)も順調に育てば、3、4年後にチームの顔になる可能性を秘めた素材だ。新人に過度な期待は禁物だが、明るい将来が望めるドラフトだった。
「黄金ドラフト」でチーム変えた広島、阪神
優勝から遠ざかっているチームは、「黄金ドラフト」が変革のきっかけになるケースがある。広島は1998年から15年連続Bクラスと低迷期が続いていたが、13年のドラフトで1位・大瀬良大地、2位・九里亜蓮、3位・田中広輔が入団すると、16年から球団史上初のリーグ3連覇に大きく貢献した。昨年38年ぶりの日本一に輝いた阪神も、20年のドラフトで獲得した佐藤輝明、伊藤将司、村上頌樹、中野拓夢、石井大智が主力として稼働した。中日は金丸を中心とした「井上チルドレン」が活躍すれば、チームは間違いなく変わる。
ただ、チーム再建への道が険しいことも事実だ。立浪和義前監督は「血の入れ替え」を敢行したが、球団史上初の3年連続最下位と低迷期から抜け出せなかった。