荒木大輔(早稲田実)の外れ1位だった斎藤は、1年目に遊撃手転向の話が出たが、たまたま2軍を視察に訪れた藤田監督からサイドスローに変えるようアドバイスされたことがきっかけで、投手として大きく花開いた。

 一方、3年春のセンバツで荒木と投げ合った川相は、投手として限界を感じ、入団直後に遊撃手に転向。2年目の84年、王監督時代に守備力を認められて1軍に抜擢され、89年にレギュラーの座を掴んだ。

 遊撃手に転向しなかった斎藤が通算180勝の大エースになり、投手から遊撃手になった川相は不動の2番打者になる。これも不思議なめぐり合わせだ。

 13年ぶりに復帰をはたした長嶋監督が4球団競合の松井秀喜(星稜)を引き当てた92年も、2位・門奈哲寛(日大)、3位・西山一宇(NTT四国)、4位・木村龍治(青学大)、5位・村田善則(佐世保実)と指名した5人のいずれも1軍で活躍したという意味では、大成功と言える。

 だが、仮に松井を外していたら、主力と呼べるほどの実績を残した選手は少ないので、改めて松井の存在の大きさを実感させられる。

 今年のドラフト巨人が誰を指名するか、注目したい。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍プロ野球B級ニュース事件簿2021」(野球文明叢書)。

暮らしとモノ班 for promotion
スマホで調理する家電「ヘスタンキュー」と除菌・除臭・しわ取りできるスチームクローゼット「LG スタイラー」って何?