阪神の藤川新監督がV奪回をするために、大山は必要不可欠な選手だろう

「広島の新井監督やコーチを慕っている」

 関西のテレビ関係者は大山の人柄について、こう話す。

「優しい男です。活躍しても周囲を思いやる性格で我を出さない。全力疾走を欠かさない姿はナインのお手本です。口数が多いタイプではないけど、穏やかな性格でニコニコ見守っている。後輩からも話しかけやすい存在ですし、癒し系ですね。茨城出身ですが、『関東の球団に行きたい』ということはないと思います。阪神に当然愛着がありますし、残留が基本線になるでしょう。ただ、もし移籍となれば、有力候補として浮かぶのが広島です。大山は新井貴浩監督、藤井彰人ヘッドコーチを慕っていますし、新井良太2軍打撃コーチは阪神のコーチ時代に大山の支えになっていました。年俸や契約年数ではなく、自分を必要としてくれる環境が、FAで決断の重要な要素になってくると思います」

 昨年2位に躍進した広島は今年も8月まで優勝争いを繰り広げていたが、9月以降に7勝22敗と大失速。最大14あった貯金が、最後は借金2に落ち込み、4位でCS進出を逃した。補強ポイントは中軸を打つ強打者に尽きる。近年は助っ人外国人が力を発揮できないケースが目立つ。大山がFA権を行使するなら、獲得に動く可能性は十分に考えられる。

 広島は川口和久、江藤智、金本知憲、丸佳浩(現巨人)など主力選手が他球団にFAで流出した歴史がある。FA補強に積極的なイメージはないが、米国でプレーしていた秋山翔吾が22年途中に日本球界に復帰を決断すると、獲得レースに参戦。西武ソフトバンクとの争奪戦を制している。今秋のドラフトでは宗山塁(明大)の1位指名を事前に公表するなど、広島のチームカラーに合う選手の獲得を目指す方針にブレがない。

 もちろん、阪神にとっても、V奪回に向けて大山は必要不可欠な選手だ。今後の交渉で慰留に全力を注ぐことになる。果たして主砲の決断は――。

(AERA dot.編集部)

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