セ・リーグ球団の動きも気になる。スポーツ紙デスクは、こう分析する。
「巨人は現有戦力で大山の必要性を感じませんが、岡本和真がポスティング・システムで球団の許可を得てメジャーに挑戦するようだと状況がガラッと変わる。秋広優人が一塁で後継者になってほしいですが、伸び悩んでいる。坂本勇人を一塁にコンバートするという選択肢がありますが、大山がFA権を行使すれば獲得を検討する価値があるでしょう」
ドラフト1位指名を疑問視する声も
大山は複雑な思いを抱えて阪神に入団したことで知られる。16年10月20日のドラフト会議。同年は大学球界を代表する右腕の田中正義(日本ハム)、柳裕也(中日)、佐々木千隼(DeNA)が「大学ビッグ3」として注目を集めた。1位指名で田中に5球団、柳に2球団が競合する中、佐々木の名前が呼ばれない予想外の展開に。阪神の1位指名が発表されるとき、佐々木を予想する声が多かった中、大山の名前が呼ばれると会場内から「ええっ……」とどよめきが起こった。
アマチュア担当のスポーツ紙記者が当時を振り返る。
「佐々木は最初の指名で名前が出ず、『外れ1位』で5球団が競合したので、『佐々木を単独で1位指名できたのに』と大山指名に疑問符をつける見方が多かった。でも、大山も大学ジャパンの4番を務めましたし、決して見劣りする選手ではない。当時の金本知憲監督の要望で1位指名しましたが、プロに入団後の活躍を見れば、この決断が正しかったことが証明されています」
昨年、リーグ優勝を飾ったとき、普段は感情を露わにしない大山が大粒の涙を流した姿が印象的だった。ドラフトの際に受けた低評価を覆そうと全力で駆け抜け、頂点にたどりついて感情が抑えきれなかったのだろう。